ゆったりと感じた時間はほんの一時だった、道後温泉の宿泊地に戻るとすでに今日のリザルトが発表されていた。良い結果を期待して自分の順位を確認すると、思っていたよりたいしたことない。7分ちょっとのタイムで坂もさんに6秒負け、アフリカ氏には13秒もやられてしまっていた。K頭師匠とは想定以上の40秒もの大差を付けられてしまった。というかそもそも自分を過剰評価し過ぎていたのだ。そういえばこの感覚SSER2DAYSでもあったな、自分で上手く走れたと思っても=早いとは限らない。それよりもさんざん煽っておいて、一本目から黒星を付けられた坂もさんとのSS対決、ちょっと同室に戻りにくいぞ。
開き直って宿泊部屋に戻ると坂もさん「T代さん相当早くなったっていってたからビビってたけど、これなら何とかなりそうだぞ~」、あ~事前にWEB上での過剰表現でプレッシャーをかけたつもりの情報作戦みごと失敗、かえって自分にプレッシャーをかけてしまいました。ならばとライバルの寝顔に油性マジック作戦なんて汚いことも考えたけど未遂に。
ラリー2日目の朝、TBI過去最長距離479.30kmのコマ図をセットしようとするが、やっぱり駆動ベルトが滑って電動巻き巻きが出来なく、手巻きで収める。こういう装備が機能しないとこの先のラリーの快適度に大きく影響するし、チェックを怠った自分にやるせない気持ちにもなった。すぐ近くにマシンを駐めるアフリカ氏とも朝の挨拶一言二言、昨日の結果を奢らない姿勢は相変わらずだが、表情の笑みの中に自信がチラリズムするのが、精神的なダメージが大きかった。
そんな複雑な精神状態のなかのスタート、朝のSSを向かえる。岩盤が多く露出するガレガレ路面が自分の自信を大きく削り取っていった。
H氏ばりに「あ~!くそ~!何で上手く走れないんだよ~!」と何度叫んだことか。余裕が無い走りのなかピーピーとショボイクラクションが近づいてきた、後続に追いつかれたか?必要にラインを譲ってとならすホーンだが、足下が悪い路面でしばしブロックするラインをとってしまった。姿勢を取り戻しストレートでパスしてもらう。抜いていくのはチームメイトのK頭氏だった。
しまった!もっとスムーズに譲るべきだったと反省と同時に冷静な思考に戻った。2台後ろからのスタートだから30秒間隔だからこの次点で1分も差を付けられたのか?(実際は20秒間隔だったので40秒の差)圧倒的レベルの差を見せつけられたが、それ以上離されないようにがむしゃらに走った。あれ?思っているよりついて行ける、残りの距離はなぜか背中を見失わず走ることができた。不思議な気持ちのままSSをアウトし、舗装路で停車したK頭氏の後ろに続いてマシンを駐めた。
第一声「もっとスムーズに譲って欲しかったな~」と率直な意見に申し訳なかった。そして今の走りについて御指導をいただいた、「ストレートでアクセル戻してるんじゃないの?ってくらいスピードが遅い、普通同じマシンなんだからストレートで追いつくの難しいのに簡単に追いついたよ!」。そう言えば去年も同じことを言ってたな、タイムを出すならコーナーリングで頑張るよりストレートで頑張った方が良いと。考えてみれば去年もレーシングなスピードに慣れていないから、意識しないとドンドンとアクセルが緩んでスピードが落ちてたんだ、そうだ!合い言葉は「開けろー!開けろ!」だった。
GW前半は冬型の気圧配置だかで朝晩少し肌寒かったが、日が高くなるとジャケットのベンチレーションジッパーの開放が必要なほど気温が上がった。すると比例して滑りまくりだったマップホルダーの駆動ベルトがグリップしだした。そして何処かのクラブツーリングの様なこの日の長~い距離のコマ図を巻き取ってくれた。この日のもう一本のSSは日没前に開設されるので去年初めて言葉を知ったスーパーリエゾンなる、ナイトSSの順番取りな急いで走る必要がなくてスケジュールはルーズだ。こんな風に一日いや翌日の事も考えて給油のポイントを決めたり等、タイムスケジュールを組み立て、自分でコントロールするのが個人的にラリーの醍醐味と覚えた。
SS二本目も予定通りに走りきる、合い言葉の「開けろー!」どうりただ開けれるだけアクセルを開けた。何度もオーバーランしそうになってもアクセルを握る右腕の肘がハンドルバーより前にいってる感覚ぐらいにアクセルをひねった。コーナーリングなんて滅茶苦茶だ、この一年の練習の成果もへったくれもない走りだったがどうなのだろうか?また今日も当日発表されるだろうリザルトを楽しみに180km先のキャンプ地に向かった。