昨日のミスコースによって総合リザルトが大きく動いた、クラストップはアフリカ氏、総合の良いトコが見え隠れしちゃって自分の欲に負けたといってミスしたK頭氏が2番手、次に自分が続く。クラスから除外勧告が出ているK氏はほっといて、自分とアフリカ氏との差が2分、今までの結果から自分の走りでこのタイムを縮めるのは不可能だろう。この結果に「ドラマティックな展開になってきましたね~」っとアフリカ氏。そんな平静を装う表情に内心ガッツポーズがチラリする。あ~自分の失敗が痛い、結局強い後悔をぬぐえぬまま翌日のスタートを向かえることになった
今日のスタート順は昨日のSSのリザルト順。当然僕のスタート順は半分以下のところだが、これまでの成績からしてこの前後でのスタートが似つかわない方が数名いて、やっちゃった仲間がいる感じでなんだか気持ちが落ち着いた。しかし自分のスタートの時がきてY社長の一言で少し和らいだ気持ちがどん底に。
それは最初にスタートの見送りをしていた黒Kさんの一言から始まった
『なんでこんな順位なところにいるのー?』
すかさず隣にいたY社長がこう嬉しそうに答えた、
『ふっふっふっ!
昨日ミスコースしたんだよ~』
なに?なんで知ってるの?そうか、あのオフィシャル車の中で一部始終を見ていたということか、なんにも言い返せない自分。せっかく気持ちが切り替えれそうだったのに、自分の失敗を引きずったままスタートした。
この日はSSの一本目が昼近くなのでそれまでに気持ちをなんとかしようと頭のなかはそのことばかり、そんなことばかり考えて走れば当然ミスコース連発。何やってんだよ俺、なかなか立ち直れないでいるとお腹の調子まで悪くなってきた、そしたらタイミングよく海岸ルートに公共WCを発見、引き返す形でマシンを止めて駆け込んだ。用足しも終盤に迫ったころマルチな排気音が外に止まった。
外にでるとそれは現在クラストップに踊り出たアフリカ氏だった、僕の顔をみるや慌ただしくヘルメットを被り走り去っていった。しばらく走ると去年も同じ場所だったカフェのあるCPに到着、すでに沢山のエントラントが休んでいたが、未だにワイワイとおしゃべりする気分にもなれなくスルーして先を急いだ。
先にあるSSには開設開始時間を回って到達した、これまでは開設を待つスタイルでラリー進行していたが、今日はリエゾンのミスコースで沢山の時間をロスしてしまったということだ。CP100のフラッグの手前には5~6台がマシンを止めタイムアタックのための準備をしていた、その先頭にはクラスライバルのアフリカ氏。まだ準備中なところをついて、先にスタートに並ばねばと直後にライバルにスタートされるのは精神上さけなければいけない、しかしこの日に限ってパンパンの空気圧で走行してたので、エア圧を下げるため停車したのが命取りとなった。
気づかれたか!?ちょっと用足ししたり先にスタートに並ばないか時間を潰したもののそんな気配をみせないアフリカ氏。間違いないこれは自分の直後に並び精神攻撃を掛ける魂胆だ、下手をして30秒後方スタートから追い上げられパッシングされようものなら精神的ダメージは最大となり一気にたたき込まれる。マズイ!すかさずヘルメットを被るとむこうもヘルメットを被り準備する、ならばと後続を待って上手く挟んでやろうと考えた。そのタイミングはすぐに訪れ、今だっ!っと動き出した瞬間にアフリカ氏もやっぱり動き出した、しかし残念な事に間に挟もうと思ってた後続からきたぐんそさん、CP100のフラッグ手前で一時停止。やってしまった!まんまと相手の作戦どうりになってしまった。お~しやってやろうじゃないの!と自分に言い聞かすも、スタートまでの間ライバルが写るバックミラーを一度も見ることが出来ないくらい、プレッシャーに押しつぶされてしまいそうだった。そんな風に思えば思うほど相手の思うつぼなのは分かっているが押さえられない。しかし、この時僕はある秘策を思い出したのであった。