六日目のスタート、やはり昨夜のSSタイムにはライバル達はオドロキを隠せない様子だった。『なんですか~?あの早さ』と言ったのはK氏だったか、S氏だか。一番驚いているのは僕だったりするのだが、そこは表にださず『いや~得意の下りだったんでね~。』と自信をアピール。少しはプレッシャーを与えることが出来ただろう。
スタートしてすぐに昨夜エアサスのエアを補充しわすれた事を思い出す。若干抜けている感はあるがフィーリングに違和感がないので、そのままいくことにしたが、SSの手前のCP100まで来てから、やっぱりと思い手持ちのポンプで補充することにした。
社外品のポンプで6.7barまで加圧するのは初めてで四苦八苦していると、クラストップのK氏が到着した。僕はエアチャックを外す際にもたついて何度もやり直していたが、K氏はいっこうにSSのスタートに並ぶ気配がなく、こちらの様子伺っているようだ。さてはこの間の仕返しに僕のすぐ後ろからスタートする作戦か?
4度目にやっとすばやくチャックを外せいつもの圧に調整出来、スタートに並ぼうと準備を始めるとK氏も準備を始めた、やはり直後スタートでプレッシャーを掛ける作戦だ!上手く他のエントラントを挟んでやろうと考えたが、ここは逃げずに受けて立つことにした。
このSSは分岐がない道なりの緩い下りのステージ、マップに目をやる事なく、走りに集中できるのはいいのだけれど、若干ガレな感じに上手くリズムに乗れないままフィニッシュ。道路脇にマシンを止めタイヤの空気圧を元に戻そうとヘルメットを脱いだ瞬間、一台のマシンがフィニッシュラインを越えた!すっかり忘れていたが後ろからK氏が来るんだった。僕がフィニッシュしてから30秒も経っていない感じだ。また引き離されてしまったか?K氏は僕のすぐそばにマシンを止め、ヘルメットを脱いでいる僕を見て、僕の方が早いタイムと思っているようだ。それじゃ逆にプレッシャーを食らっているではないですか?K氏。実に面白い戦いだ!結果は僕の方が3秒早かったのだが、それよりも20秒近く早かったS氏はやっぱり朝型のようだ・・・。
この日の夜のSSは25㎞のロングステージだ。ここで大きく勝負が分かれる大事な一番。今日も早い順を取るため先を急いだ。cafeにあるCPはココで注文した人は開設時間よりも先にCPを通過できる条件になったいたので、パイとパンを食べてサッサと通過した。
その先の漁村を通るアベレージの上がらないルートで時々、気絶しそうになりながらも、気合いを入れてCP2には二番手の到着、開設時間までしばらくの仮眠を取った。
CP2を通過するとSSまでの移動が気が抜けない。勝負をしている人は早いスタートを取るため、この間のリエゾンがとても早いスピードで駆け抜けていく。初めて知ったのですが、この区間のことを「スーパーリエゾン」と呼ぶようだ、納得!
が僕はこの日、燃料補給のタイミングを誤ったようで、信号待ちすら歯がゆいこのスーパーリエゾンの区間で給油しないとビバークにたどり着けない計算だ。運が良く誰も客がいないスタンドで給油でき、最小限の停止時間で済んだため、それほど多くのエントラント達には前に行かれてないようだった。
雑誌等でよく見る沈下橋を初めて渡り、決戦のSSまではあと少しの距離、
その風景に一気に気持ちが高まってきた。